読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ロボット化する老人

 この度内閣府が発表した高齢社会白書によると、2013年時点で日本の総人口のうち、65歳以上の「高齢者」が占める割合は25%ということなので、今の日本では4人に1人が高齢者ということになる。当然ながらこの数値は年を経るごとに上昇していく。2050年には総人口の40%が高齢者になるという予測もなされている。
 「そんな爺さん婆さんばかりになったら日本は終わりだな。年寄りは四の五の言わずに早く死ねばいいのに」などと過激なことを考えたが、どうやら2050年には自分が年寄りになっているらしいということに気付き、「まあどうすればいいかみんなで知恵を出し合って考えようじゃないか」という穏健な結論に落ち着いた。
 そんな僕が大いに期待を寄せているのが介護ロボットというものである。寝たきりの高齢者を風呂に入れたり、トイレに連れて行ったりするのは大変な重労働である。介護の仕事をしている人にとって、腰痛は職業病とも言えるものだそうだ。そうした事態を解決すべく、介護ロボットの開発が進んでいるらしい。実際にどんなものか見たことはないが、介護をする人が着用することにより、高齢者を持ち上げたりする時に身体にかかる負担を軽減するロボットスーツが既に実用化されているらしい。なんとも夢のある話である。
 将来、コストダウン及び量産化に成功したあかつきには、介護をする側の人ではなく、是非介護をされる側の人が装着するようなものにしてもらえたら楽しいだろうなと思う。80歳になって自分の力では歩くことすら難しくなっても、スーツを着用するやいなや、100mを5秒で走れるようになったらさぞ面白いだろう。僕も退職して暇を持て余すようになったら、是非ロボットスーツを装着して新宿や銀座あたりで缶蹴りやドロケーをして遊びたいものだ。歳を取ってプレーするのを諦めてしまったスポーツにも再挑戦できるかもしれない。スーツを着込んだ年寄りの集団がアメフトやサッカーに興じている光景はさぞかし壮観であろう。
 しかし、何年経っても世間の世知辛さは変わるまい。きっとロボットスーツの質も個々人の生涯賃金によって大きく左右されてしまうのだろう。一流企業で定年まで勤め上げた人がガンダムみたいな超高性能なスーツでフィールドを駆けまわる一方で、生涯フリーターだったような奴は巨人の星の大リーグ養成ギプスに毛の生えたようなショボいスーツで、ガンダム達に蹂躙される様はさぞかし悲哀を誘うだろう。
 そして、そんな光景を見ながら、世の母親達は「あんたたちも爺さんになっていいロボットスーツを装着したかったら、勉強して金持ちになりなさい」と教え諭すのだ。