日本男児が抱えるジャニーズコンプレックスについて

 SMAPが解散しようが何をしようが僕の生活には1ミリも影響しないのだが、テレビをつけてもネット記事を見てもSMAP解散の話題で喧しいことこの上ない。それらを見ていて思うのは、ジャニーズという組織はつくづく凄いところだなあということである。
  日本人の男性にとって、ジャニーズというのは近いような遠いような微妙な距離感があるところである。おまえごときが何故にジャニーズが近いなどとほざくか と怒られるかもしれないが、男なら誰でも親戚のおばさんや友達のお母さんなどから、一度は「しばらく見ないうちにいい男になったわねえ、ジャニーズに入っ ちゃえば?」などといった、「誰も損しないからとりあえず言っとけ」的な口から出まかせをよく聞かされるものだ。ここで賢明な男子であれば、すぐに「あ あ、これはお世辞だな」と思えるのだが、僕のように知能指数が一定水準に達していない青年は、そんな単純なお世辞も真に受けてしまい、家に帰って鏡を見な がら自分が少しでもカッコよく見える角度を研究しはじめたりする。それでも自分からジャニーズのオーディションに参加するほど図々しくはなれず、「ああ、 俺にも自分の写真を勝手に送ってくれるお姉ちゃんの友達がいないかな」などと自分に姉がいないことも忘れて他人に頼ったりする。日本で育った男性であれ ば、そんなナイーブな時期を誰しも一度は通過するのではなかろうか。
 なぜ僕らは実在もしない姉の友達の力を借りてまでジャニーズに入ることを考 えてしまうのか。理由は「女の子からキャーキャー言われたい」という至極単純な動機である。ジャニーズの凄さは、かれこれ数十年にわたって日本人女性に とっての理想的な男性像を支配し続けていることだ。ジャニーズに所属するタレントは概して小柄で、身体つきも華奢ないわゆる「男性的」なものと対極的なと ころにいる。それにも関わらず、クラスの女子が、休み時間中にジャニーズタレントの下敷きやら写真なんかを眺めてキャーキャー言っているのだからすごい。 そうした光景を苦々しく思った男子が、「そんな軟弱な奴らのどこが良いんだ」と悪態をついている光景を何度となく見たし、僕自身もそう思っているところが ないと言えば嘘になる。悪態をつくというのは、羨ましいと思っていることの裏返しである。女の子からキャーキャー言われたければ、自分もジャニーズ系を目 指せばいいのだが、生物学的な成長には抗えず、背はどんどん伸びてくるし、すね毛はモジャモジャ生えてくるし、およそジャニーズ系とは遠ざかっていってし まうのが悲劇である。
 特段見てくれが良いわけでもなく、取り立てて女性からモテもしない一般的な日本人男性にとって、ジャニーズの人達というのは、自分達が望んでも手に入れることができなかったものを手に入れた憧れと憎しみの対象なのである、というのは決して大袈裟な話でもあるまい。
 そんな憧れと憎しみの眼差しを一身に浴びて、20年以上もジャニーズのトップアイドルとして君臨したSMAPには改めて敬意を表するとともに、もし欠員を補充する必要があるのならば、私がいつでも駆けつけますよというメッセージを送りたい。