ゴールデンステート・ウォリアーズには優勝を捨ててでも73勝を目指して欲しい

 NBAでは、昨シーズンの覇者であるゴールデンステート・ウォリアーズ の勢いが止まらない。NBAではレギュラーシーズンにおいて、1チームは82試合を戦うわけだが、今シーズンのウォリアーズは開幕24連勝という前代未聞 のロケットスタートを経て、2月1日の時点で48試合を消化し、44勝4敗という驚異的な勝率を誇っている。現時点でのシーズン最高勝率は、史上最強と言われている1995-96シーズンのシカゴ・ブルズによる72勝10敗という記録である。この記録を今シーズンのウォリアー ズが破ることができるか、というのがNBAファンの間では大きな関心事項となっている。
 ちなみに、1995-96シーズンのブルズは、48試合を消化した時点で43勝5敗というペースであった。現時点では、ウォリアーズはブルズの勝ち星をひとつ上回っており、このままのペースで行けば72勝以上 を挙げるのも無理な話ではないように思われる。ところが、ウォリアーズの今後の対戦スケジュールを見ると、現時点で同じく西カンファレンスの強豪であるサ ンアントニオ・スパーズとオクラホマシティ・サンダーとの対戦を3試合ずつ控えており、これまでのようなペースで勝ち星を積み上げていけるかどうかは分か らない。
 周囲は当然のように20年ぶりの記録更新を期待しているが、そもそもウォリアーズの選手たちはブルズの記録超えを狙っているのかという 疑問が湧いてくる。1995-96シーズンのブルズは、その前シーズンにジョーダンが復帰したものの、プレーオフで敢えなく敗れるという屈辱を味わってお り、その雪辱を果たすためにデニス・ロッドマンを迎え入れた年であった。彼らはその後3連覇を果たすことになるが、ジョーダン、ピッペン、ロッドマンの3 人がトリオを組んだ初めての年だけに、自分たちの強さを周囲に見せつけておく必要があったのではないか。その反面、既に昨シーズン優勝を果たしてしまって いるウォリアーズには、今更強さを見せつける必要などないわけで、むしろレギュラーシーズンはプレーオフに向けての調整に使っても良いくらいである。 NBAのシーズンは11月から4月までの長丁場である。どんなにタフなアスリートでも82試合を常に100%の力で闘いきるのは不可能だろう。無理をすれ ば疲労が溜まり、疲労はケガに繋がる。73勝したは良いが、すっかり消耗してしまい、優勝を逃してしまったということになる可能性もある。
 そのあたりを当の選手はどのように考えているのか気になっていたのだが、ウォリアーズのエースであるステファン・カリーのインタビュー記事を 読むと、「4月になって記録が狙えそうなら狙ってみる。もちろん記録達成と優勝の両方を狙ってみたい。」などというあまり面白くない答え方をしていた。ま あ「優勝なんてどうでもいいから73勝を目指します」と言われるのも違う気がするし、この質問の答え方はなかなか難しい。
 しかしどんなシーズンであっても優勝するチームは必ず一つは出てくるわけで、時が経てば別のシーズンに優勝したチームの記憶とともに風化してしまうのが世の常である。よほどの NBAマニアでもなければ、8年前に優勝したチームはどこか?という質問に即答できる人は少ないのではなかろうか。ところが今シーズン、ウォリアーズが 73勝できれば、「シーズン73勝した史上最強チーム」として人々に強烈な印象を植え付けることができるはずである。1995-96のシカゴ・ブルズが最 強チームとして記憶されているのは、シーズン72勝という前人未到の記録を打ち立てたからである。そう考えると、僕個人としてはたとえ優勝の機会を棒に 振ってでも、ウォリアーズは73勝以上を狙ってもらいたいものだと思う。ただし本当に優勝を逃してしまった場合には、「73勝もしたのに優勝できなかったチーム」という若干間抜けな記憶に上書きされてしまうことになるが。。。