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スタバがキューバに建つ前に

 2015年7月にアメリカと国交を回復して以来、キューバを訪れる観光客の数が飛躍的に増えたという話を聞く。僕個人としてもキューバは死ぬまでに一度は行ってみたい国である。コロニアル調の建物や鮮やかな彩りの町並みをクラシックカーが騒音と共に走り抜ける様子を街角のバーでモヒートなんかを片手にこの目で見てみたいものだ。だが、もしかすると「死ぬまでに」などと悠長なことは言っておられないかもしれない。アメリカと国交を回復してしまったからには、これからキューバにも、他の多くの国々と同じように、多くのアメリカ資本が押しよせることになるだろう。路上のコーヒー屋台はスターバックスに取って代わられ、庶民的な定職屋はマクドナルドになってしまい、情緒と郷愁に溢れた街並みは次第に失われていってしまうだろう。少しくらい不便で不効率であっても、その国独特な強烈な個性が、効率的だが画一的なものに上書きされてしまうのは面白くない。

 今、多くの旅行者がキューバを訪れているのは、キューバがそうならないうちに、昔さながらの様子を目に焼き付けておこうとしているのではあるまいか。変わる前の姿を惜しんでキューバに観光にやってくる人々が、これからキューバ独特の文化を変えてしまおうとしているのと同じ国からやってくるというところに何事かを思わざるを得ない。