都心のボロ家をなんとか俺のものにしたい

 月々に十数万円の家賃を支払うくらいならば、家を買ってしまった方が得なのではないかということを考え、都内近郊のマンションや一戸建てを物色している。初めのうちは、住まいなど適当に決めてしまえばいいと気楽に構えていたが、見ているうちに段々と欲が芽生えてきて、駅から徒歩15分が限界だとか、築年数は20年以内が良いとかいう条件を付け出す。そうなってしまうと、当然のことながら物件の価格が青天井に上がってしまい、5,6千万円が当たり前の世界になってくる。たかだか一会社員にとって、5,6千万円というのは、ポンと出せるような金額はなく、出すに当たってはそれなりの覚悟が必要になる。何年のローンで月々いくら返済しなくてはならん、などという話を不動産屋から聞かされるだけで、なんだか気が重たくなってしまう。そんなわけで家を買うつもりはあれども、物件を決めるまでは慎重に慎重を期さざるを得ない。
 気分転換にと、適当に辺りを散歩してみると、どんなに探しても手頃な物件が見つからないような駅の周りにも、果たして本当が人が住んでいるのか疑わしくなるような家が、結構な数あることに気が付いた。中には、長年風雨にさらされて、扉や窓が外れてしまっているような家さえある。もしかしたらこういう家にも誰かが住んでいるのかもしれないが、その可能性は著しく低いのではないかと思う。できることならば、こうした家の持ち主を探し出して、「ここの土地を売ってください」と直談判してみたいという衝動に駆られた。
 日本もこれから人口がどんどん減っていくことが確実視されている。人が減るということは、当然人が住む家も減るということだろう。各地でマンション開発が進み、住宅費が高騰している一方で、上に書いたような空き家が色々なところで見られるようになった。もちろん新築の物件の方が、できてから何十年も経過して、外観もボロボロになっているうえ、耐震性も頼りない物件より需要が高いというのは当然のことだ。しかし上モノだけの問題であるのであれば、空き家を買い取ってリフォームしてしまえば良いだけの話であるような気もする。これからは、誰も使っていないような都心の空き家を新しい宅地に再開発して、都心で働く人の住宅需要を、リーズナブルな価格で満たしていく取り組みが必要なのではなかろうか。